ROSCH Kennelでは、霧島国立公園の自然に抱かれた環境で、科学的根拠に基づくボーダーコリー専門のブリーディングを行っています。その中で常に意識しているのが「毛色と健康の遺伝学」です。毛色は単なる外見の美しさではなく、犬の健康や遺伝学的リスクとも密接に関わっています。またそれと同時に、多くの誤解も存在します。ここでは、ボーダーコリーの毛色遺伝についての最新知見を整理しながら、ロッシュのブリーディング方針を紹介します。


ボーダーコリーの基本の毛色

犬の毛色は大きく分けて4つの基本色から成り立ちます。

これらに加えて、**ブリンドル(縞模様)、セーブル(被毛が先端に黒色を帯びるタイプ)、タンポイント(四肢や顔に淡色が出る)、アグーチ(ウルフセーブル、野生型の帯状パターン)、サドルパターン(背部に局所的な濃色が残る)、マール(Merle、網目状の希釈パターン)、イエロー(劣性赤、ee-レッド)**といった多様なパターンが組み合わさることで、豊かな毛色バリエーションが生まれます。基本色の判定には、被毛だけでなく鼻・眼縁・口唇といった色素沈着部位の観察が重要です。

毛色遺伝と健康リスク

毛色の遺伝には、美しさと同時に注意すべきリスクも存在します。

ロッシュでは、これらの遺伝的リスクを回避するために、全親犬に遺伝子検査を実施し、現在判明しているすべての遺伝病リスクをゼロにしています。

マール遺伝に関する誤解

よくある誤解のひとつに「マールとティッキング(斑点模様)の混同」があります。ティッキングは白地に黒斑が混ざることで灰色っぽく見えますが、マールは毛の根元まで白く、全く異なる遺伝形式です。誤解を避けるため、経験豊富な目と遺伝子検査の両方を用いた判定が不可欠です。

また、「ツイード」と呼ばれる毛色パターンについても誤解が多く、ボーダーコリーの場合は単純に大きな色斑を持つ個体がそう表現されるにすぎません。

ボーダーコリーの毛色と健全な繁殖

一部では「希釈色は健康に悪い」と信じられていますが、これは必ずしも正しくありません。ブルーやライラック(イザベラ)でも、健康な系統管理を行えば問題なく育ちます。むしろ大切なのは色の組み合わせを無秩序に追求しないことです。

ROSCHでは、毛色の多様性を楽しみつつも、犬の健全性を第一に考えています。繁殖の基本軸を「ブラック」に置きながら、データに基づいた計画的な組み合わせを徹底しています。これにより、美しく健康で、世代を超えて安定した血統を維持しています。


まとめ|ROSCH Kennelの理念

ボーダーコリーの毛色は奥深く、魅力的でありながら、時に複雑な遺伝リスクを伴います。だからこそ、単なる見た目の追求ではなく、科学・データ・自然の調和を重視したブリーディングが必要です。

私たちの理念は、犬と人との絆を科学と自然の調和の中で未来へと継承していくことです。単なる毛色の美しさや外見の魅力ではなく、健全な身体と心を備えたボーダーコリーを次世代につなぐことを使命としています。犬たちが自然の中で健やかに走り、次世代へと受け継がれる――そのための努力を日々続けています。

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