“項目別” ボーダー・コリーの遺伝疾患の遺伝性質

前回の遺伝性疾患についての記事を補完する内容です。

今回は、ロッシュケネルで実施しているDNAテスト項目について、より正確な情報を広く認識していただく事を目的として記事にまとめました。
犬についてのDNA検査の実施はまだまだ一般的になっているとは言い難い状況ですが、検査を行ったブリーダー様が後の結果をより正確に活用できるよう書き記しますので、是非お役立てください。

今回は各項目の一覧を作成するにあたって、ロッシュのメインで依頼させて頂いているDNA検査機関であるOrivet Japan様にもご協力頂く事ができました。

優性遺伝と劣性遺伝

2対で一つとなった常染色体(それぞれの親からひとつずつのコピー)のうち、どちらか一方にのみ異常のある遺伝子があっただけでも発現(発症)するのが優性遺伝。対となる片方に対して優位に働くからです。
それに対して、片方だけでは発現できず、2つ両方に異常がある場合にのみ発現するものが劣性遺伝です。

つまり、キャリアとクリアをクロスしていれば絶対にその子犬は当該疾患を発症しないのかというと、上記の通り優性遺伝であった場合は全く異なり、クリアの親に対してもう片方の結果がキャリアであったとしても実質アフェクテッドどころか、両親犬ともキャリアもしくはアフェクテッドと同等の結果となります。
対象の疾患の遺伝性質を把握していないと検査をしていたとしても大変危険です。

ちなみに疾患ではなく毛色にも言えますが、例えばチョコレートカラーを発現させる因子は劣性遺伝のため、両親がどちらもチョコレードカラーである必要はないにせよ、必ず両親どちらもチョコレートカラー因子をキャリー(キャリア)している必要があります。
ロッシュでは現在、ROSCHがチョコレート因子をキャリー(キャリア)しているため、KINAKOがそれを引き継いでいる可能性があります(検査中)。しかし、現役のALANと将来のJは二匹ともチョコレートの因子を一つも持っていない(クリア)ため、今後新しいチョコレート因子を持った雄犬が来ない限りロッシュパピーにチョコレートやライラックカラーが生まれることは絶対に無いという事になります。

ボーダー・コリーの遺伝性疾患検査可能項目

検査項目優性/劣性
CL 神経セロイドリポフスチン症劣性
CEA コリーアイ/網膜脈絡膜形成不全浸透度が不完全な劣性
TNS 捕捉好中球症候群劣性
MDR1 イベルメクチン感受性 多剤耐性遺伝子 Multiple drug resistance 1浸透度が不完全な優性
DM 変性ミエロパチー/変性性脊髄症Degenerative Myelopathy浸透度が不完全な劣性
PLL 原発性水晶体脱臼Primary Lens Luxation浸透度が不完全な劣性
コバラミン吸着障害:キュビリン欠乏症Cobalamin Malabsorption劣性
隅角形成不全関連緑内障Goniodysgenesis and Glaucoma劣性
ミオトニー脱毛症 Myotonia Hereditaria劣性
レイン症候群歯髄下ミネラル化 Raine Syndrome Dental Hypomineralisation劣性
シスチン尿症Cystinuria (SLC3A1)劣性
フォンウィルブランド病 タイプ II von Willebrand’s Disease Type II劣性
情報提供|Orivet Japan

浸透度とは

端的に言うと、優性/劣性の2択ではなく、原因因子のコピーを親から引き継いだ場合にその形質の発現(発症やその程度)に影響する要素です。
メンデル遺伝法則から逸脱し、単純にアフェクテッドだからと言って100%その子はその因子の疾患を発症するわけではないという根拠となるものです。

当犬舎ALANのコリーアイが「発症なし」となっているのも、コリーアイの原因因子のコピーを2つ持っているアフェクテッドであるものの、その因子が不完全な浸透度である故に発症せずに済んでいると言えます。

浸透度とは,ある遺伝子がどの程度の頻度で発現するかを指す。ある遺伝子を保有する個人のうち対応する表現型が出現した個人の割合と定義される(Professional.see figure 浸透度および表現度 )。不完全(低い)浸透の遺伝子は,たとえ形質が優性であっても,また形質が劣性で,その責任遺伝子が両染色体にある場合でも,発現しないことがある。同じ遺伝子でも浸透度に個人差がみられる場合や,浸透度が年齢に依存する場合もある。異常なアレルが発現しない(非浸透)場合であっても,異常なアレルを保有する非罹患者から子に受け継がれて,臨床的な異常が認められることがある。そのような場合,家系図では1世代を飛び越えたように見える。しかしながら,非浸透と判断された症例の中には,診断者が障害の軽微な臨床像に精通していなかったか,認識できなかったことが原因のものもある。ごくわずかな発現しか認められない患者は,ときにその障害の不完全型とみなされる。

引用:MSDマニュアル プロフェッショナル版

もし情報に誤りなどがある場合、ご指摘ください。

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